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シルクロード展開催中!

只今,日本大学文理学部にて「シルクロードの風・水・人〜日本に至る遥かな道〜」展を開催しています。

期間
12月5日(火)〜25日(月)
場所
日本大学文理学部百周年記念館 (東京都世田谷区桜上水3−25−40) 京王線下高井戸駅または桜上水駅から徒歩10分

入場無料

1階:シルクロードの風・水・人
・シルクロードに沿う地域の様子を最新の日本の衛星“だいち”などからの画像で立体表示
・シルクロード、ローマから日本までの大画像の上を歩く!
・シルクロードの気象・気候、砂漠の特徴,黄砂の発生地
・シルクロードから日本への風,動画で見る黄砂の動き
・楼蘭遺跡 ロプノールの水はどこへ
・山岳部の氷河は今?地球温暖化の影響
・シルクロードに生きる人,民族,文化
ラウンジ
・世界の三猿,猫の変遷
 
CGで見るシルクロード
2階
・井上靖『敦煌』の世界
・日本のシルクロード〜奈良から太宰府へ〜

後援:カザフスタン大使館/国土地理院/独立行政法人東京文化財研究所/日本国際地図学会/読売新聞社/共同通信社/日光東照宮/世田谷区/世田谷区教育委員会など

協力:北京大学(中国)/石河子大学(中国新彊ウイグル自治区)/新羅大学(韓国)/ 日本シルクロード倶楽部/(社)日本グラフィックデザイナー協会/(財)リモート・センシング技術センター/(財)資源・環境観測解析センター/ (財)日本地図センターなど

問い合わせ : 03-3329-1151 日本大学文理学部庶務課
シルクロード展のパンフレット(pdfファイル)

また,シルクロード展関連公開シンポジウム「シルクロードの環境変化」が開催されます。

日時
12月17日(日)10:00〜16:30
場所
日本大学文理学部百周年記念館国際会議場 (東京都世田谷区桜上水3−25−40) 京王線下高井戸駅または桜上水駅から徒歩10分

入場無料

午前の部
10:00-10:10 挨拶 島方洸一(日本大学文理学部学部長)
10:00-10:40 衛星画像から見るシルクロードの環境変化 中山裕則(地球システム科学科)
10:40-11:10 シルクロードの氷河と岩石の風化形態−カラコラム山地を中心に− 藁谷哲也(地理学科)
11:10-11:35 シルクロード周辺地域の気象・気候特性 山川修治(地球システム科学科)
11:35-12:00 シルクロードから日本への大気の動き 李 相勲(自然科学研究所研究員)
午後の部
13:30-14:00 地形から見たシルクロードの環境変化―黄砂はどこで生まれるか― 遠藤邦彦(地球システム科学科)
14:00-14:30 遺跡から見るシルクロードの変遷―楼蘭,タクラマカンを例として― 相馬秀廣(奈良女子大・文学部)〔自然地理学〕
14:30-15:00 タクラマカンの不思議な遺跡「小河墓」―NHK新シルクロードシリーズより― 井上隆史(NHK放送総局)
15:15-15:45 モンゴル帝国とシルクロード 白石典之(新潟大・超域研究機構)〔考古学〕
15:45-16:15 シルクロードの水―変貌する地球環境への警鐘― 森 和紀(地球システム科学科)
16:15-16:25 閉会の挨拶

主催:日本大学文理学部

更新日:061211

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浅間火山から伸びる噴煙

県立妻沼高校より
上:2006年11月13日
下:2006年11月23日

撮影:久保田郁夫(県立妻沼高校)
画像処理:千葉茂樹

更新日:061212

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静岡県裾野市からの富士山

千葉 崇

9月19日,静岡県裾野市からきれいな笠雲が見えました。

更新日:061127

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佐呂間竜巻(20061107)発生当時の総観気象状況

山川修治

佐呂間上空に到来し発達したス-パーセル

矢印の先端;2006年11月7日13:30JST気象庁による

11月7日13:30頃,北海道北東部の佐呂間町で日本史上最大級の竜巻が発生しました。佐呂間竜巻のメカニズムを推論するために当時の総観気象状況を検討したところ,特徴として次の7項目が挙げられます。

  1. 急発達中の低気圧が北西方300kmを北上
  2. 積乱雲群からなるスーパーセルを伴う顕著な寒冷前線の通過
  3. 対流圏中層に乾燥空気の流入
  4. 極めて鋭い楔状トラフの襲来による上昇気流と渦の発生
  5. スーパーセルに寄与した山岳効果
  6. オホーツク海沿岸地表付近の暖湿状態が助長した大気不安定化
  7. 黄砂の流入による影響

詳細については気象災害>「佐呂間竜巻(20061107)発生当時の総観気象状況」をご覧下さい。

更新日:061116

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富士山監視ネットワーク再開

富士山監視ネットワークのメンテナンスが終了しました.リアルタイムの富士山,及び過去の富士山の画像を,周囲4箇所のカメラでご覧いただけます.(西カメラ:花鳥山脈は現在も調整中です.)

更新日:061102

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後退しつつある中国天山山脈No.1氷河

遠藤邦彦

写真1 2005年8月20日の氷河

写真2 2006年9月10日の氷河

写真3 2006年9月10日の氷河先端

中国で進みつつある西部開発の中心地ウルムチ市は,天山山脈から流下するウルムチ河に沿って南北に細長く発達し,市街地は拡大しつつあります.

このウルムチ河を最上流部までさかのぼったところに,天山山脈のNo.1氷河があります.この氷河の末端から少し下ったところには氷河の観測所があり,古くから氷河の変動について調査を行っています.

氷河の末端の位置が後退しつつあり,地球温暖化と連動しているという事例が数多く報告されていますが,No.1氷河においても後退傾向にあり,この傾向は少なくてもこの50年から100年にわたると考えられています.

写真は2005年8月20日(写真1)と,2006年9月10日(写真2)に撮影されたものを比較したものです.

更新日:061024

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神奈川で二酸化硫黄

図1 10〜11日神奈川県海老名市役所での二酸化硫黄濃度

   出典:環境省 そらまめ君  改変禁止


図2 10日19時頃の神奈川県周辺の二酸化硫黄濃度

   出典:環境省 そらまめ君  改変禁止

図3 11日12時頃の神奈川県周辺の二酸化硫黄濃度

   出典:環境省 そらまめ君  改変禁止

環境省の"そらまめ君"情報によると,10月11日,神奈川県の中-東部から東京湾周辺のかなり広い範囲において,二酸化硫黄が検出されました(青-黄緑レベル).詳しくは10日の19時頃(図2)と11日の12時頃(図3).この日は南関東は南風のため,三宅島から火山ガスがやってきた可能性が大です.異臭がするなどの報告はないようでした.

気象庁の火山情報によると,丁度この日に,火山ガスの測定が行われ,2800〜3700トン/日と最近の低下傾向からやや盛り返している感じが見られます.11日の火山情報には噴煙が火口上800mまで上がっているとあります.また,現地情報によると,2日前の10月9日夕方6時に坪田地区で警戒レベル4が発せられ,同日夜9時には伊ヶ谷地区にて警戒レベル4が発せられています.これは久しぶりのことということです.

三宅島2000年噴火から6年がたち,火山ガス放出のレベルも徐々に低下し,最近は三宅島の火山ガスが遠方に影響することはなくなっているかと思っていましたが,風向き次第ではやってきているようです.これを的確に捉えている環境省の"そらまめ君"のシステムは優れものであるということができるでしょう.

環境省"そらまめ君"の図表使用については,環境省の許可を頂きました.なお,図2,3では国土地理院の地図を使用しています.

更新日:061018

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富士山初冠雪

山中湖

河口湖

奇石博物館

三島

富士山監視ネットワークによる画像.

2006年の初冠雪は10月7日でした.富士山観測プロジェクトでも2002年からの変化をご覧になれます.

更新日:061009

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北京市の黄砂

遠藤邦彦

図1

図2

今年の5月17日の前後,中国で黄砂が多くの地点で観測されました.北京の王府井で5月18日に車のボンネットに降っていた黄砂を,斉先生が採集されたものです.0.57m2の範囲から3.55gが採集されたので,1m2あたり6.16gに相当します.写真は薬包紙に採集した状態のものです.今年の黄砂はより大規模なものもありましたが,北京を襲ったものの中で比較的規模の大きなものの一つであったようです.

参考:「環境問題のページ」「2006年の黄砂の観測情報」

更新日:060923

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三宅島小噴火 続報

遠藤邦彦・山田敦巳


撮影:地球システム科学科山田敦巳

写真は8月25日に三宅高校の駐車場で車の上に付着した降灰を撮影したもの(撮影者:地球システム科学科山田敦巳).灰は1〜3mmの塊をなし,北から南に流れたように見えます.北の方向はカルデラの方向です.塊をなしているのは,水滴と共に降下した可能性を示唆しており,流れたような筋もこのことで説明できます.前報とあわせて,当日の風向は不明ですが,8月23日午前4時25時ごろの小噴火により,カルデラから南東に向かった噴煙からの降灰が,坪田地区の数地点で確認されたということになります.坪田地区の市街地の外では降灰は確認できませんでした.なお,当日は降雨はなく,晴れたり曇ったりという天気でした.

なお,8月15日ごろの台風により,三宅島には強い雨が降り,カルデラ内に水がたまっていたということです.この水の影響のもとで水蒸気爆発を起こした可能性も考えられます.〔以上,8.28の記事を一部修正しました(8.29)〕   参照:「火山災害のページ」「2006年8月の小噴火」

更新日:060828

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三宅島小噴火

遠藤邦彦


撮影:地球システム科学科山田敦巳

2006年8月23日早朝に三宅島で小規模な降灰があったと思われます.調査中の山田君(地球システム科学科3年)が三宅高校の木の葉に付着した火山灰(写真)を見つけました.他にも坪田地区の車に付着した火山灰も発見しています.
  参照:「火山災害のページ」「2006年8月の小噴火」

更新日:060826

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冥王星、惑星から外れる

ご存知の方も多いと思いますが、水金地火木土天海冥と覚えていた「惑星」から、冥王星が外れ、惑星は8つになりました。国際天文学連合総会における太陽系惑星の新定義について、日本学術会議よりニュース・メールが届きましたので、転載します(転載可、確認済み)

    

8月14日からチェコのプラハで開催されていた第26回国際天文学連合(International Astronomical Union、以下IAU)総会は、8月24日、太陽系の惑星について、骨子以下のように決定した。
 これは海王星・冥王星より遠い小天体が最近多数発見されていることなどにより、これまでの太陽系像を改定する科学的必要が生じたもので、2年近い討議と特別委員会での検討、今回の総会での熱心な科学的討議により決定されたものである。特別委員会には、国立天文台の渡部潤一助教授が委員として参加した。
 なお、日本学術会議は日本における国際天文学連合の加入団体であり、今回の総会には日本代表として海部宣男日本学術会議会員(前国立天文台長)、ほか2名が派遣された。

(1)太陽系の惑星は、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つとする。冥王星は、惑星とは呼ばない。これは、その公転軌道の近傍領域における力学的な主要天体であることを惑星の新しい条件としたことによるもの。冥王星は小さく、この条件にあてはまらない。

(2)太陽系における新しい種類の天体として、「dwarf planet」を定義する。これらは小さいため惑星ではないが太陽を回る一人前の天体と認められるもので、これまで惑星とされていた冥王星、「小惑星」の仲間であったセレス、最近発見された海王星よりも遠くを回る天体2003UB313などが「dwarf planet」である。基準ぎりぎりの天体をdwarf planetとするかどうかは、今後制定されるIAUの手続きによるものとする。

(3)そのほかの小さな小惑星(アステロイド)や海王星以遠の天体、彗星、隕石など太陽系内の小天体は、「Small Solar System Bodies」と総称する。

(4)「dwarf planet」のうち、最近発見が続いている海王星以遠の天体(Trans-Neptunian Objects)を、冥王星をその代表とする新しいクラスの天体と認める。このクラスの天体の名称はIAUのプロセスに従って検討する。

詳しくは、国立天文台ホームページ(http://www.nao.ac.jp/)を参照されたい。
 なお、上記のdwarf planet、small solar system body、Trans-Neptunian Objectsなどの和名と概念の整理、および関連する国内での記載法等については、今後日本学術会議と関係学協会が中心となり、科学や教育など広い分野の関係者と協議し、とりまとめて公表する予定である。

 平成18年8月25日  日本学術会議 会長 黒川 清
  日本学術会議会員(IAU日本代表)海部宣男

更新日:060826

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梅雨前線豪雨をもたらしたブロッキングパターン

山川修治

図1 梅雨前線性雲バンドのなかで集中豪雨をもたらした白く輝く積乱雲群

2006年7月19日06時; MTSAT赤外画像;

高知大学Web情報による

今年の梅雨前線は、例年より南北に幅広い雲バンドを伴っているという特徴がみられました(図1)。その要因として「寒冷渦」(上空に寒気を伴い中緯度に移動してくる低気圧)が挙げられます。例年、春〜夏になると、チベット高原・モンゴルなど内陸部が強く熱せられるため、梅雨前線は、西日本以西では水蒸気量の南北の気温差(勾配)が大きい反面、気温勾配はあまり大きくなく、気温勾配の大きい東日本の部分とは対照的です。しかし、今年は寒冷渦の南下によって、日本列島を横断するように気温急勾配帯が形成され、その地帯に東シナ海から、線状積乱雲が西日本を経て中央日本に差しかかり、集中豪雨をもたらしました。

図2 2006年8月2日における北半球地上および500hPa天気図

実線:地上気圧; カラー:500hPa面高度場,暖色系:高気圧,寒色系:低気圧;

Unisysによる

図2から、夏の主役である北太平洋高気圧は太平洋北東部の中心部では強く、一部は北米西部へ張り出し、北米北東部の高気圧ともリンクし、アメリカに熱波を引き起こしつつあることが読み取れます。高温・高気圧を示す赤・オレンジ色の部分に着目すると、東西に伸びる亜熱帯高圧帯の発達が際立ち、猛暑を示しています。ヨーロッパでも、イギリス、フランス、ドイツで7月の最高気温を更新し、アゾレス高気圧(北大西洋東部の高気圧)が北東方に張り出し、500hPa気圧場でわかるように、アフリカ北西部からの熱波が西欧へ押し寄せた様子をうかがえます。一方、日本の盛夏をもたらす小笠原高気圧の勢力は弱かったことがわかります。中緯度を巡る偏西風が「ブロッキングパターン」(非常に大きい蛇行が持続するタイプ。図2の黄緑色のゾーンに注目)になっています。そして、その北へ凸となるリッジの地域で猛暑、南へ凸となるトラフの地域で冷涼、トラフの東側で偏西風が南西から北東へ向けて強化されているところで豪雨という構図がみられます。

今年5〜7月の天候特性は、前線活動による大雨とともに、日照時間が全国的に平年の半分程度であったことを挙げることができます。例年なら梅雨明けし暑さの本格化する7月末になって、オホーツク海高気圧が一時季節はずれの発達をみせるという珍しい現象も加わり、水稲や野菜をはじめ農作物の生育の遅れが懸念されています。

日本南方の熱帯低気圧・台風活動は、例年以上に北にシフトしており、発生後数日で日本に急接近したり、最盛期に近い状態で日本へ襲来する台風が多くなる恐れがあります。加えて、寒冷渦活動は8月も時折、日本列島へ影響を及ぼしそうです。北から気圧の谷、南から台風…と、「高温ながらも不順な夏」になる可能性が高まっています。

詳しくは「気象災害のページ」「日本の梅雨前線豪雨・日照不足および欧米の熱波をもたらしたブロッキングパターン」

更新日:060809

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桜島の昭和大噴火

安井真也

2006年6月4日に桜島火山南岳(1060m)の8合目の昭和火口付近で噴煙が確認されました。付近ではこれまで噴気活動がありましたが、噴煙が確認されたのは1946年の昭和の大噴火以来、60年ぶりのことです。
 当時の文献によると、大正の大噴火の後は20年ほど静穏でしたが、昭和大噴火の9年前から活動的になりました。

1935年9月に南岳山頂で噴火があり、爆発的噴火が間欠的に一ヶ月続きました。

1939年10月には標高750m地点(昭和火口付近)で約半月間小噴火があり、小規模な火砕流も発生しました。

1946年の昭和の大噴火では3月10日頃からの約2ヶ月半が最も活発で、昭和火口から頻繁に噴煙をあげ、溶岩が流出しました。爆音とともに黒煙が立ち上り、赤熱の溶岩片を吹き飛ばす様子が観察されました。また4月以降、溶岩流が火口の東方の黒神海岸と南方の有村海岸に達しました。死者1名、山林焼失、農作物に大被害がありました。

黒神西方から見た昭和噴火の火口と溶岩

黒神方面の昭和溶岩(安山岩質の塊状溶岩)

スケール:33 cm
参考文献
萩原尊礼・ほか (1946) 昭和21年3月の櫻島噴火.震研彙報, XXIV, 143-159.
森本良平 (1947) 地質學的,岩石學的に見た,昭和21年の櫻島の活動―その一,地質学的観察.震研彙報, XXIV, 229-238.
気象庁編 (2005) 日本活火山総覧(第3版)

更新日:060607

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富士山頂の積雪,急速後退

5月の山頂の相対湿度(%)気温(℃)
富士山の積雪状況は5月6日頃まで前報に続き,変化が見られませんでしたが,
気象庁のデータより作成
5月6日
5月7日頃以後,積雪域は急速に後退しているように思われます。山頂の気温を見ると,その頃からプラスに転じ始め,また,降雨があった可能性があります。
9日
10日
 
17日
17日や23日のように,5月初めに比べれば,大幅に後退しています。
23日

更新日:060525

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富士山頂の雪いまだ融けず

2004年 2005年 2006年
4月15日
4月21日
4月26日
4月28日

昨年四月に比べ,今年四月の富士山の積雪は顕著です(上の写真参照)。
 昨年末,富士山周辺は極端に雨が少なく,また早くから厳しい寒さとなりました。 そのため冠雪は遅く,降ってもすぐに吹き飛ばされてしまいました。(参考:「富士山の積雪について」)
 今年に入ってようやく「真っ白な富士山」がみられるようになりました。
 例年ならば,四月中旬以降,富士山頂でも0度を上回る日が出てきて,雪は融け始めますが, 今年は四月に寒冷低気圧が何度も通過し低温で湿度が高かったため,富士山は四月末でも厚い雪を頂いています。 今年は富士山以外でも雪が多く各地で雪崩による事故が発生していますので,皆さんご注意ください。
 ただいま「富士山監視ネットワーク」はメンテナンス中で,リアルタイムの富士山をご覧頂くことができませんが, 「富士山観測プロジェクト」で蓄積されたデータからピックアップして日・年毎に比較した「富士山の雪」をご覧いただけます。

更新日:060503

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『平成18年豪雪』と世界の気象災害の関係

山川修治

今冬の日本列島は,気象庁が「平成18年豪雪」と名付けるほど寒く雪の多かったことで特徴付けられます。日本で災害をもたらした気象現象は,世界各地にも影響を及ぼしています。

フィリピンの豪雨

今年1月は,東アジアの寒波が全般に強い状況が続きました。下旬,寒気団を伴う寒冷前線はフィリピン中部付近まで南下,同地域の対流活動を強めました。約3週間の断続的豪雨の末,2月12日にフィリピン・レイテ島東部のタクロバンで洪水が,2月17日にはレイテ島南部のギンサオゴン地区で大規模な地滑り・泥流が発生しました。

北日本東方で急激に発達したアリューシャン低気圧とそのはるか南方で猛烈に発達したサイクロン

2006年3月19日21時のMTSAT赤外画像

高知大Web情報

オーストラリアのサイクロン

南半球では,熱帯収束帯(ITCZ)が南緯10〜20度に位置し,所々で熱帯低気圧活動がみられます。なかでもオーストラリア北東岸に接近中のサイクロン「ラリー」は,非常に強く最強ランクのカテゴリー5をマークしました。2月10日過ぎに日本付近を通過した寒気団の一部が,赤道を越えてオーストラリア北部とその周辺へ進入,同地域の積雲対流活動の強化につながったと考えられます。

ハワイの豪雨

日本付近を通った低気圧や前線の一部は,例年ならばシベリア寒気団の影響をあまり受けないハワイ付近をもしばしば通過。アラスカ沖上空に停滞した低気圧の前線がハワイ付近へ伸びやすく,ITCZに伴う対流活動や積乱雲群の影響も加わり,いわゆる「コナ・ストーム」として再発達しています。3月27日までの3週間に,オアフ島で975mm,カウアイ島で875mmの降水量を記録。オアフ島・ホノルルの3月の平均降水量は48.6mmですから,いかに異常多雨であるかということがわかります。

*「コナ・ストーム」・・・ハワイ諸島付近に寒冷前線が到来したさい,亜熱帯海域で発生する暴風雨を伴う擾乱

ペルーのラニーニャ

3月28日に La Leche川が豪雨で溢れ,コーンや綿花が被害を受けました。表層海水の状況をみると,今冬にわかに発生し現在進行中のラニーニャは,今夏にかけてはむしろ強化される可能性が高くなっています。

黄砂が多い理由

また,今冬〜春は黄砂の飛来の極めて活発なことが特筆されます。黄砂頻発の要因を探ってみると,

  • モンゴル方面から北日本付近を通過する低気圧に伴う寒冷前線が,砂漠や乾燥地域で砂塵嵐を引き起こしている。
  • 上空のジェット気流は,シベリア方面から日本方面へ向かう流れが顕著で,大量に運搬されてきている。
  • 地上では北日本と本州南岸の「2つ玉低気圧」のケースが多く,その中間では降水がやや少ない。

今後も同様の低気圧・前線が頻繁に日本付近を通過しそうで,4〜5月にかけても顕著な黄砂現象が起こりそうです。

詳しくは「気象災害のページ」「『平成18年豪雪』と世界の状況について」

更新日:060331

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『富士山の謎をさぐる』刊行!

遠藤邦彦

いよいよ『富士山の謎をさぐる 富士火山の地球科学と防災学』が刊行されました。

富士山の地球科学と防災を中心に、富士山のすべてを多くの方々にわかりやすく知っていただくことを目的としてまとめられたものである。富士山の生い立ちや噴火現象だけではなく、気象、水、富士山周辺の土地利用、土壌やその生み出す農産物、富士山ハザードマップまで、富士山に関する最新の知識を幅広く盛り込んである。
 読者のみなさんが、本書によってさらに広く富士山に関する知識を深め、富士山の火山防災や火山の恵みについて多くのことを知っていただければ幸いである。(本書「はじめに」より)

  1. 富士は日本一の山
    1. 富士山が日本でいちばん高いわけ
    2. 富士山の土台をなす大地−島弧と島弧の衝突帯
    3. 富士山はなぜそこにあるのか−富士火山の地下構造をさぐる
    4. 富士山の生い立ち
    5. 富士山のマグマとマグマ溜り
  2. 噴火する富士山
    1. 昼間の江戸を暗闇にした大噴火−宝永噴火
    2. 裾野を埋めた溶岩の海−青木が原溶岩
    3. 大崩壊した富士山−御殿場岩屑なだれ
    4. 富士山の噴火と巨大地震
  3. 富士山の空と水
    1. 富士山の笠雲−富士山気候気象学入門
    2. 富士山をめぐる水
    3. 富士五湖のなぞ−山中湖を例として
  4. 富士山の火山災害と恵み
    1. 富士山を宇宙から見ればーリモートセンシングによる富士山
    2. 富士山の火山災害と防災−ハザードマップとはなにか
    3. 富士山の恵み−豊かさを育む火山灰土壌
  5. 富士山の火山災害にかんするなんでもQ&A
    • 史料に書かれている内容の信憑性はどのようにして検証するのですか?
    • 富士山の噴火の予測は可能でしょうか?可能ならどのようにして予想するのですか?
    • 富士山が噴火した場合、人間をふくめた生物にどのような影響があるのでしょう?
    • 火山の大噴火が気候に与える影響は?
    • 富士山が噴火した場合の季節による風向きの影響は?
    • ハザードマップの想定を超える範囲に被害がおよぶことはありうるのでしょうか?
    • 富士山の噴火様式が多様であるとすれば、噴火様式ごとの防災対策はあるのでしょうか?
    • 富士山のハザードマップが作成されはじめてから、住民の富士山の防災への関心は高まりましたか?
   日本大学文理学部地球システム科学科教室編
   築地書館(株) 2006年発行 定価:本体2,400円+税

更新日:060317

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黄砂到来

遠藤邦彦

9日、華北付近にあった低気圧は朝鮮半島付近にまで東進し、
10日にはモンゴル国境から北朝鮮にかけて、実に60地点で黄砂が観測されています.
11日には朝鮮半島全域で45地点で観測されています.

11日から12日にかけて、日本列島にも黄砂が降ったようです.
11日には札幌で雨滴に付着した黄砂が確認されています.

3/12に西東京のトラップを回収したところ

関連記事

12日には東京でも黄砂トラップに黄砂がたまっているのが明瞭に分かるほどでした.ただし東京では風が強く,ローカルなダストが混じっている可能性が大です.

参考: 気象庁黄砂情報
中山研衛星画像解析 NOAA/AVHRRによる黄砂の画像

更新日:060313

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富士山の積雪について

山川修治


2005年11月28日

2005年12月4日

2005年11月29日

2005年12月5日

2005年11月30日

2005年12月6日

今冬の富士山の雪が少ないという話題が新聞紙上などで取り上げられていましたので,そのことを含めて,富士山の雪について述べたいと思います。

昨年の冬後半もそうでしたが,西高東低冬型の気圧配置の卓越する厳しい冬には,一般に富士山の積雪が少ないという特徴があります。富士山に雪がもっとも多量にもたらされるのは,本州の南岸を南岸低気圧が東北東へ進む場合です。1月上旬までは,南岸低気圧の頻度が低く,2005年11月12日,11月28日,12月5日,2006年1月6日に通過したものの,あまり発達せずに,速いスピードで東に駆け抜けていったため,雪はあまり降り積もりませんでした。しかも,例年以上に低温であったため,積もった雪も粉雪で吹き飛ばされやすかったようです.

2005年11月から2006年1月の気温変化 気象庁のデータから作成

2006年1月13日

2006年1月20日

2006年1月14日

2006年1月21日

2006年1月15日

2006年1月22日

2006年1月16日

2006年1月23日

1月中旬以降は,状況が変化してきています。1月14日には深い気圧の谷(南岸低気圧と日本海低気圧,あわせて二つ玉低気圧と呼ばれる)が日本列島を通過し,富士山の山頂付近に大量の雪が降りました。下層には暖気が入って雪国でも大雨が降り,島根県などで全層雪崩が発生しましたが,本州の3000m級の山では雪となっていたわけです。

また,1月21日には,典型的な南岸低気圧が通過して,東京都心で9cmの雪が積もりましたが,富士山でも本格的な積雪のあったことが画像からわかります。今後2〜3月にかけては,南岸低気圧が比較的通過しやすくなる見込みで,富士山の雪景色の変容をとらえることができると推測しています。

上記のように,富士山でまとまった降雪があるのは,冬型気圧配置ではなく,低気圧通過時ですので,地球温暖化と積雪との関係は一概にはいえません。長期的な積雪・残雪の増減は興味深い現象なので,是非卒論などで取り組んでほしいと思っています。

更新日:060124

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